寒さの厳しい冬に見られる氷柱(つらら)。山深い秩父では、大自然が生みだす氷柱の芸術的な光景が各所で見られますが、中でも見事な氷柱が見られる場所として有名なのが「秩父三大氷柱」です。秩父市内を流れる荒川沿いの岩肌に出現する「三十槌の氷柱」、尾ノ内渓谷の一番滝に作られる「尾ノ内氷柱」、横瀬町の地元住民と厳しい寒さが作り上げる「あしがくぼの氷柱」は、地元民に愛されるだけでなく、県外からも数多くの観光客を集める冬の秩父の観光名所として名高いスポットです。
今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、バスツアーの開催や広報活動を中止するなどの対策を取り、規模を縮小した形での開催に。
2020年は暖冬のために氷柱ができないなどのトラブルがありましたが、2021年は順調に氷柱ができ、地元の人たちの目を楽しませてくれました。
なお、氷柱ができる季節は防寒対策はもちろん、路面が凍結していますので、スタッドレスタイヤやタイヤチェーン、スノーブーツなど、クルマも人も冬用の足回りをご準備ください。
荒川沿いの岩壁に巨大な氷柱がそびえたつ、幻想的な光景を見ることができるのが「三十槌の氷柱」です。ここでは石清水が固まって自然にできあがる高さ10メートル・幅30メートルになる天然の氷柱と、岸壁の上から人の手で水を流して作り上げる高さ25メートルの人工氷柱の種類の景色を見ることができます(サイズはいずれも最大時)。
最寄りのキャンプ場から鑑賞ルートの歩道が整備されていますが、川辺に出るには急こう配の坂道を歩いて下りることになるため、歩きやすく滑りにくい靴をご用意ください。
人の手を一切加えることなく、自然にできあがる天然氷柱。まさに自然が作り上げる芸術作品です。
岩壁の上から水を流して作られる人工氷柱は、スケールの大きさに圧倒されます! 川面に写る氷柱も見どころ。
鑑賞ルートへ向かう途中には、写真のような小規模の氷柱が。こちらは目の前に近寄って見ることができます。
鑑賞ルートが整備されていますが、川辺は小石が足を滑らせやすいのでお子様連れは特にご注意ください。
開催期間中は、平日の17:00〜19:00と土日祝日の17:00〜20:00にライトアップが行われました。壁一面が鮮やかなブルーや深紅に染まる人工氷柱は大迫力! 天然氷柱はオレンジやグリーン、ブルー、ピンクと次々に色を変えていきます。
夜間の川辺とあってかなりの冷え込みになるので、鑑賞の際には十分な防寒具が必要になるのでご注意を。
埼玉県道210号線を三峰口から中津川方面へ走って行くと、持桶トンネルを抜けた左側の壁面に現れるのが「中津川氷壁」です。高さ50メートルを超える壁面に、土の中から滲み出した水が凍結することでできるダイナミックな光景に、圧倒されること間違いありません。
なお周辺には駐車場はなく、道も片側一車線の道路になっています。氷壁至近の路側帯に車数台が止められるスペースがありますので、空いていればそこに駐車できます。とはいえ、すでに満車の場合の駐車待ちは危険ですので、おやめください。道中の路面が凍結していることも多いので、冬タイヤを装着の上、運転に注意してお出かけください。また、駐車スペースや路側帯などは、クルマや人に踏み固められていて、すべりやすくなっている場合がありますので、こちらもご注意ください。
住民からの提案がきっかけで生まれ、毎年地元のボランティアの協力によって作られているのが横瀬町の「あしがくぼの氷柱」です。 こちらの氷柱は、いわゆる「つらら」のイメージとは違い、まるで氷のキノコが下から湧き出てきたかのような丸い形が特徴。そんなかわいらしい氷柱が、6000平方メートルの山林を覆いつくし、一帯を幻想的な氷の世界に変えています。会場は一方通行の順路が設定されているため、氷柱の観賞もしやすく快適です。順路には坂道もありますが、ウッドチップが敷き詰められているため、すべりづらく安心です。また、駐車場がある道の駅には、靴についたウッドチップを落とすためのブラシが備えられたエリアもあり、至れり尽くせり。帰路のことまで考えてくれているなんて、うれしくなっちゃいますよね。
近くには西武秩父線の芦ヶ久保駅があり、氷の景色と走る鉄道のコラボレートが見られるのも「あしがくぼの氷柱」ならではです。
2021年は、新型コロナウイルス感染症対策として、例年とは違って金曜日のライトアップが中止されているほか、入場制限を行うために土日祝の13時以降の入場は事前予約制となっています。好評だった紅茶と甘酒の無料配布も中止となっていますがご理解ください。最新情報は公式ページでご確認ください。
氷の景色越しに走る電車の姿が見える、絶好のフォトスポット。雪が降った日には線路まで純白の世界がつながることも。
入口のトンネルを出ると、すぐに富士浅間神社の鳥居が。この鳥居をくぐった先が、文字通り非日常の世界に!
夜間のライトアップが人気の「あしがくぼの氷柱」ですが、今年は土日と祝日の夜間に、開催規模を縮小して行われました。起伏に富んだ氷柱に、色とりどりのライトが反射して描き出される光景は、まさにファンタジーの世界。光り輝く氷の世界のすぐ横を走り抜ける電車を見ていると、子供のころに読んだ物語の世界に迷い込んでしまったようです。ライトアップの時間帯は、冷え込むことも多いので寒さ対策を万全にしてお出かけください。また、寒い時間帯で心配になるのがお手洗いですが、「あしがくぼの氷柱」の会場では、入り口にあたる道の駅のエリアに加えて、会場の最上部にもお手洗いが用意されているのでご安心を。
日本百名山のひとつ両神山を源流とした「尾ノ内渓谷」の入り口にある、「一番滝」の周辺に作られるのが「尾ノ内氷柱」です。尾ノ内沢から500メートルものパイプを引くことで、周囲約250メートル、高さ60メートルに渡って人間と自然が力を合わせて作り上げる景色はまさに絶景。さらに渓谷に渡された吊り橋へと進めば、氷の芸術に囲まれた大パノラマが堪能できます。
なお尾ノ内渓谷は、自然を満喫できるトレッキングコースとしても有名。春〜秋の景色も知っていると、より一層冬の景色も楽しめますよ。
一番滝を囲むように氷柱が形成される「尾ノ内氷柱」。一番寒い時期には、まるでクリスタルでできた滝のようになります。
ここまで来たら絶対に見ておきたいのが吊り橋からの景色。ただし。貴重品を落とさないように十分ご注意ください。
吊り橋の両端からは、氷柱をアップで見ることができます。日光を受けた氷柱がキラキラと輝く様子にもご注目を!
少し離れた広場にはベンチとテーブルが。氷柱からは少し離れますが、全体を眺めることができるここからの景色もオススメ。