セキレイ NIBOSHI no D5

【埼玉県さいたま市】

今回は、東武アーバンパークライン「七里駅」から南へ約1キロメートルほどにある「セキレイ NIBOSHI no D5」をご紹介します。
新潟県で旅館を営む家庭に生まれた店主の浅井大吾さんは、幼いころから料理を担当するお父様の背中を見て育ち、自然と料理の道へ。地元の調理学校を卒業後、中華料理店で経験を積んだのち、「独立するならラーメン店が現実的だと思い」(浅井さん談)ラーメンの道を志すように。そして都内で任されていたお店がミシュランのビブグルマンを獲得したことを機に、2023年1月に「セキレイ NIBOSHI no D5」オープンし、独立を果たしました。
独立時に浅井さんが選んだラーメンは、店名にも掲げている通り、煮干を使ったラーメン。この選択については「煮干という素材にはまだ引き出せるものがあると思ったので」と浅井さんがいうように、煮干から連想しがちな臭みやザラつきといったものと無縁な、非常にクリアな煮干のうま味をダイレクトに味わえるラーメン(醤油・塩)とつけ麺(醤油・塩)を提供しています。
また期間限定メニューも人気で、カキやカニミソを使ったラーメンから、トマトやバジルオイルを使ったイタリアン風と個性豊かなラインナップがSNSでも確認できます。じつは、独立前の浅井さんは、自分の料理の幅を広げようと日本料理やイタリアン、フレンチなどでの経験も積んでおり、こうした経歴が既存のラーメンにとらわれない味づくりに生かされています。
なお、“ミシュラン”や“日本料理”などのワードが並んでいると「少しかしこまったお店なのかな?」と思うかもしれませんが、そのような心配はありません。スタッフの丁寧かつほどよい距離感の接客と、人目を気にせずお料理と向き合える店内で、遠方からやってきたラーメン好きから近隣にお住まいの方まで、幅広いお客様でにぎわっています。
最後にお店のこれからの展望についてうかがったところ、「このお店を大きくしていくことももちろんですけど、僕は“この味ひとつでやっていこう”という気もないんです」と意外な返答が。続けて「大阪万博に出店することになったとき、留守を任せるスタッフが好きだということで一緒に“裏セキレイ(SEABURA no U8)”というG系のメニューを一緒に考えましたし、このお店1本ということでもないですね」と、見据えている展望の広さがうかがえるお答えをいただきました。
煮干の新たな可能性を感じられる「セキレイ NIBOSHI no D5」に、ぜひ一度足をお運びください!

鯛煮干を使ったクリアなつけダレに煮干ペーストをまぶした平打ち麺の相乗効果!

今回はおすすめの「塩つけ麺」(840円)をいただきました。
お料理が出てきた瞬間、目を引くのはそのビジュアル! 深めの器に盛られた平打ち麺の上には大判チャーシューとスライスオニオンが乗せられ、添えられたつけダレは黄金色に透き通り、まるでイタリアンかフレンチのお店に来たかのよう。
まずはつけダレをひとすくいして味を確かめてみると、見た目通りのクリアな味わいのなかに、予想もしなかった濃厚な魚のうま味と、それ以外の複雑なうま味が混然一体となって口いっぱいに広がり、鼻を抜ける香りに柑橘系のさわやかさすら感じられます。このうま味にあふれながらも、魚臭さを一切感じさせない煮干の正体は、タイを使った煮干の“鯛煮干”。古来、日本では“魚の王様”とされてきたうま味成分豊かな鯛煮干を使うことで、濃厚な味わいと臭みのなさを両立しているのです。そして煮干だけではない複雑なうま味の正体はお酒。日本酒やワイン、オレンジリキュールなどを使い、「このお酒とこのお酒を混ぜてどうおいしくするか、というカクテルの要領ですね(浅井さん談)」とブレンドすることで複雑なうま味と香りを作り上げています。
このつけダレに合わせる麺は、もちもちとした食感が楽しめる平打ち麺。これには下処理をした平子煮干を一度焼いて臭みを飛ばし、オリーブオイルと合わせて作ったペーストをからめて下味が付けられていて、このままでもおいしくいただける状態で提供されています。
そんな単体でも完成されたつけダレと麺を組み合わせると、お互いの魅力が相乗効果を発揮! つけダレ単体にはなかった平子煮干の野趣あふれる濃厚さが加わり、シンプルでジャンク寄りだった麺にタイや酒の複雑なうま味成分が加わることで、味の奥深さが増していくのです。このつけダレと麺の比率を自分好みに調整したり、あえて片方に寄せることで、いつまでも食べ続けられると錯覚してしまいそう。
トッピングに目を向けると、しっかり温度管理され低温調理でピンク色に仕上がった肩ロースのチャーシューは、薄くスライスされてしっとりとした肉感とほどよい脂が楽しめます。そしてこれをつけダレにくぐらせると鯛煮干やお酒のうま味が加わり、麺に乗せられたオニオンスライスと一緒にいただくことでローストポークを使ったメイン料理のような仕上がりに! 麺の上のオニオンスライスは、シャキシャキとした食感と清涼感がアクセントになるだけでなく、混ぜられた三つ葉のほのかな香りが煮干主体の味に変化をプラス。全体と調和する優しい味付けの極太メンマも、もちもちの麺との食感の対比が楽しめるバイプレイヤーの役割を果たしています。
「ほかのお店にないうちだけの料理を作りたかった」という浅井さんの言葉に、思わず納得してしまう「セキレイ NIBOSHI no D5」の「塩つけ麺」。世のラーメン好きはもちろん、「普段はラーメンやつけ麺を食べない」という人にも、ぜひ一度体感していただきたい逸品です!

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まるでコンソメスープのような黄金色の透き通ったつけダレには、タイのうま味と複数種のお酒のうま味が凝縮!

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平打ちの中太麺に煮干とオイルを練ったペーストが絡められ、そのまま食べてもアンチョビのパスタのような味わいに。

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スライスされたチャーシューは、そのままで肉のうま味をダイレクトに、つけダレに通すとローストポーク的な味わいに。

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炒めて香ばしさを増したチャーシューと、ワサビの刺激と香りがたまらない「わさびタルタルチャーシュー丼」(350円)。

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