今回は県道35号線からさいたま幸手線を北浦和駅方面へ進み、約650メートル進んだ右側にある「らーめん 廣澤」をご紹介します。
店主の廣澤裕樹さんは、学生時代のアルバイトをきっかけにラーメン業界に入り、いくつかのラーメン店での修行を経て2023年11月に地元でお店をオープン。鶏豚骨のスープを使ったコクのあるうま味の「らーめん（950円）」と「塩ラーメン（950円）」のほか、魚介のうま味を活かした「魚貝淡麗の塩（800円）」「まぜそば（980円）」などをレギュラーメニューとして提供しています。
「らーめん 廣澤」で特徴的なのが、お店で使用している魚介類へのこだわり。元々素潜りや釣りを趣味としていた海好きの廣澤さんが、旬の美味しい海産物にこだわったラーメン作りをしている点です。お店の公式Instagramをのぞいてみると、休日に出かけた廣澤さんの釣果とともに、その日に使用している食材をアナウンス。過去の投稿をさかのぼるとマダイやタチウオ、ヒラメにマダコなどなど、様々な海鮮食材が画像と共に紹介されています。期間限定メニューでは主に釣り物の海鮮食材を使ったメニューを提供し、数量限定の海鮮丼は売り切れ必至のサイドメニュー。
これらの海鮮系のメニューへのこだわりについて「うちの命ですね」と廣澤さんは言い切り、「本当は釣り物だけでまかないたいぐらいなんですけど、そういうわけにはいかないときは豊洲市場に勤めている知人から仕入れた食材も使っています」とお話しいただきました。
最後に廣澤さんに今後の展望について伺ったところ、「あまり売上をどんどん伸ばしていこうっていう性格ではないので、僕のお料理を喜んでくれる地場のお客さんを相手に、細々とやっていければいいな、と思っているんです」と謙虚な言葉が。しかし決して消極的なわけではなく、「ただそんなに甘い世界ではないので、僕が好きな“海鮮”をひとつのテーマに、そのなかで色々な挑戦をしていきたいと思っています」と前を向いてお話ししていただきました。
旬の美味しい海鮮を知り尽くした店主が作るラーメンの数々を、北浦和の「らーめん 廣澤」でお楽しみください！

今回は「らーめん 廣澤」の一番人気、「まぜそば（980円）」をいただきました。
まずは器の底にあるタレが全体にいきわたり、麵全体に照りがでてくるまでしっかりとかきまぜていくと、麺の熱で揮発した食欲をくすぐる香りが漂います。ほのかに茶色く色づいた麺をつまみ上げて、口の中へと導くと複雑なうま味が舌の上で暴れているよう。香ばしい香りのしょう油ダレは、貝のうま味を中心としながら鶏や豚骨、煮干のうま味でまわりを固めることで、十分な厚みを持たせながら決して重くはならない味わいを構築。ひとつの味一辺倒になりがちな「まぜそば」ですが、一口の中にグラデーションを付けることで、最後まで飽きさせない一品に仕上げています。
続いて「まぜそば」の主役ともいえる麺ですが、ふっくらもっちりとした食感の太麺タイプ。この程よい歯応えをしっかり楽しめる太さも絶妙ですが、嚙むごとに湧き出す小麦のうま味や甘みは、廣澤さんが季節ごとに使う小麦粉の配合や寝かせる期間を調整して、毎朝、繁忙期には朝・夜に作っている自家製麺だからこその仕上がりです。
トッピングのチャーシューは、肉の味と食感を楽しめる肩ロースのチャーシューを燻製にした“燻製チャーシュー”となっています。口に入れた瞬間に広がるスモーキーな香りはインパクト抜群で、チャーシュー単体で薫香と肉のうま味のハーモニーを楽しむのも良いのですが、冒頭の混ぜる過程で細かくほぐれたカケラが全体に散らばることで、麺の中に薫香の付いたチップがアクセントとして加わる効果も担っています。
正直ただのチャーシューでも文句が出ないところ、あえて燻製にしている理由を廣澤さんに聞いてみたところ「その方が合うと思ったし、お客様も喜んでくれるからですかね。うちは全部が手作りだから大変ですよ」と笑って話しました。
他のトッピングも麺とからんで磯の香りを加えるバラ海苔に、シャキシャキ感をしっかり残した茹で加減のほうれん草とコリコリ担当のメンマ。香りづけや中盤のリフレッシュにうれしいタマネギと長ネギと、バラエティに富んだ役割が割り当てられており、気が付けばあっという間に完食してしまいます。
魚介の美味しさに魅せられた廣澤さんが作る「らーめん廣澤」の「まぜそば」を、ぜひ一度ご堪能ください！