2024年10月24日 【埼玉県秩父郡】
県道11号・熊谷秩父線を小川町から東秩父方面へ進み、御堂の信号を左に入った先にある「道の駅 和紙の里ひがしちちぶ」内の「らーめん 彩佐屋」をご紹介します。
現店主・護守俊司さんの奥様である鈴代さんが、親戚のラーメン店で修行した後に東秩父でラーメン店を開業。リニューアルされた「道の駅 和紙の里ひがしちちぶ」内に移転した後、定年を迎えた俊司さんを店主に迎え、夫婦二人三脚でラーメン店を営んでいます。
オープン当初は「とんこつしょう油らーめん(800円~)」専門でしたが、その後お客様の要望で俊司さんがイメージする“昔ながらの中華そば”を再現した、鶏ガラベースのしょう油ラーメン「支那そば(750円)」をラインナップに追加。こちらは、とんこつしょう油用とは別で、専用に作った自家製麺を使っています。
お店としての特徴は、前述した自家製麺だけでなく、スープやチャーシューなどを自家製で作っていること。ライスやおにぎりに使うお米まで、店主の俊司さんがここ東秩父村で籾種をまいて育てたコシヒカリを使っているそうです。
決して交通量の多くない郊外のお店で、ここまで自家製にこだわると採算が気になるところですが、「子育ても終わって夫婦ふたりで食べていければいいんです。来てくれたお客様とお話しながら、毎日が楽しく過ごせればいいや、と」と話す俊司さん。「だから正直、休日にお客さんがいっぱい来ちゃう日は嫌いなんですよ。お話をする余裕がなくなっちゃうから(笑)」と付け加えていました。
お店のこれからについて伺うと「自分たちの健康のため、老後のボケ防止にね(鈴代さん)」、「うちは和やかなお店なので、お客さん同士で“やあ、久しぶりだね”、“最近どうしてた?”なんて話してもらえれば(俊司さん)」と、笑い合うご夫婦の笑顔が印象的なお店でした。
ご夫婦の温かい人柄がにじみ出る、ラーメン店として珍しく居心地のよい「らーめん 彩佐屋」。ラーメンに限らない魅力をすべて味わいたい方は、ぜひ平日にご訪問ください!
今回は「らーめん 彩佐屋」さんのオススメメニュー、「黒鬼らーめん(1150円)」をいただきました。
いかつい名前にちょっと身構えながら出てきたお料理を見ると、たっぷりの背脂が浮いたとんこつしょう油ラーメンといった雰囲気。スープをひとすくいして口に含むと、しょう油の香りとうま味が口に広がり、追いかけるようにとんこつのしっかりとしたうま味が土台を作り、背脂の甘味もじわりと感じられます。通常のとんこつ系のラーメンと異なるのは後味で、とんこつや脂が口内に残ることのないキレのよさが印象的です。
これは「黒鬼らーめん」の名前の由来にもなっている。プロ和太鼓集団・鬼太鼓座(おんでこざ)が、地元・東秩父で作っている「黒にんにく」をスープに使っているからなのだそう。にんにくを高温・高湿の環境で熟成することで栄養価を高めながらにおい成分を分解。ドライフルーツのような甘酸っぱさを持つ「黒にんにく」を使うことで、特有の香りを付けずにうま味成分のみをスープに加え、ほのかな酸味がとんこつスープを切れ味よく仕上げる役割を果たしています。
合わせる中細のストレート麺も自家製で、モチッとした噛み応えの麺のなかから小麦の美味しさが湧き出てくるような素性のよさ。麺を嚙むごとにスープのうま味と小麦由来の甘味が増していき、飲み込んだ後味のキレのよさが次のひと口へと誘います。
この「黒にんにく」の切れ味を、さらにサポートするのがたっぷり乗せられた白ネギの存在。糸唐辛子と共に、辛味がリフレッシュ効果を発揮するだけでなく、シャキッとした歯触りが麺の間に挟まることで、モヤシやメンマと共に食感のアクセントになっています。アクセントといえば、磯の香りを加えるノリも、タイミング次第で味の構成を変化させる名脇役となっています。
トッピングのメインといえるのが、器の半分ほどを覆う大判のチャーシュー。こちらは肩ロースを使っていて、ホロホロと崩れていくような柔らかな肉感と、脂のこってり感の両方を楽しめる贅沢な1枚。ドボンと放り込まれたように見えるゆで玉子には、スープが染みるように切れ込みが入れられていて、心配りがうれしいですね。
「黒にんにく」のジューシーなうま味が、意外なほどにとんこつしょう油ラーメンとの相乗効果を発揮する「黒鬼ラーメン」。にんにくはにおいがちょっと……という方や、翌日に仕事を控えた人にもオススメしたい極上の一杯ですよ!
彩の国ラーメン紀行
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