今回ご紹介するのは、首都高速6号三郷線の八潮インターを出て約5分、閑静な住宅街の中にある「HandicraftWorks」です。2017年にブラジルの串焼き料理であるシュラスコと、まぜそばを融合させた新しいジャンルのお店として八潮にオープン。その独創性と味の両面からラーメンメディアでも上位に入賞し、埼玉県を代表するまぜそばのお店として、その名を轟かせています。
そんな個性的な料理を生み出した鶴岡祐介さんは調理の専門学校を卒業後、ラーメンのみならず上海料理やイタリアンなどの飲食業を経験。「他のお店のどんなラーメンにも似ていない料理」を構想する中で、このシュラスコ＋ラーメンというスタイルを生み出したと言います。
個性的なのは料理だけではありません。住宅街の中にたたずむシックな木目の建物に、デザイン性の高いアイコン化された看板。店内に入ると5メートルはあろうかという木目のロングカウンターが広がり、コンクリート調の壁にはカラフルなネオンサインが輝いています。広い厨房の奥まで見渡せる開放的な店内にはポップなBGMが流れ、まるで西海岸かハワイのビーチサイドカフェといった雰囲気。提供する食器も木製のボウルやステンレス製の皿、さらには日本の升など、“既存のラーメン店の形”にとらわれない発想がそこここに見て取れます。
こうした発想がどのように生まれるのかを鶴岡さんに尋ねたところ、「日常のすべてがヒントになると思っています。ラーメン以外の食事もそうですし、なんなら町で見かけた女性のネイルの色を見て、“この配色は季節感が出るな”と思ったらトッピングなどの参考にもなりますから。僕は“いいな”と思ったものを取り入れたいので、トッピングもしょっちゅうブラッシュアップしているんです」と熱く話していただきました。 どんなラーメン店でも得られない味と体験が、八潮の「HandicraftWorks」であなたをお待ちしています！

今回、「HandicraftWorks」では、一番人気の「ワイルドパレット（1550円）」をいただきました。
提供された料理を見て、最初に目を引くのはやはり肉の存在感！　シュラスコ専用のグリルを使ってミディアムレアに焼き上がった国産牛の内モモ肉は、牛肉ならではの肉を噛み締める感覚はしっかり楽しめつつ、歯で噛み切れる柔らかさを保った絶妙な厚みと焼き加減。味付け自体は岩塩や胡椒主体のシンプルな味付けですが、噛み締めるごとに溢れる肉の旨味を引き立てる役割を果たしています。
そんな肉の下に隠れているのが特製の塩ダレにからめられた太麺。丸刃ならではの滑らかなすすり心地でほど良く暴れながら口の中に飛び込み、モチモチとした食感を楽しむごとに小麦の旨味が広がります。塩ダレには昆布やアサリ、ホタテを使い、味付けには岩塩やドライトマトを加え、奥の深い味わいに仕上がっています。
ここまでシュラスコと麺を個別に紹介しましたが、じつはここからが「ワイルドパレット」の真骨頂。料理の提供時に言われる通り、しっかりと麺とトッピングをかき混ぜることで、麺と塩ダレにシュラスコから出る肉汁や脂が加わり味のレベルが数段アップ！　塩ダレのベースがシーフード系なこともあってか、牛肉のうまみとケンカすることなく、互いを補い合う重層的な旨味へと進化します。トッピングの刻みニンニクもタレ全体に香りを加えるだけでなく、時折加わるピリッとした刺激が好アクセントに。
そして欠かせないのが、シュラスコの定番でもある焼きパインの存在。焼くことで酸味が消えて甘みが増しているだけでなく、パインの持つたんぱく質分解酵素の働きもあってか、たっぷりの肉を食べても重さを感じさせない効果も！
そのまま完食しても良いのですが、テーブル上のフルーツビネガーにもご注目を！　焼きパインを作る際の余りを使った自家製のフルーツビネガーで、市販品にはない優しい酸味が肉のコッテリ感を程よく中和してマイルドに変化します。
ビジュアル的にシュラスコのインパクトが先行しがちですが、食べてみれば麺をおいしく食べるための“麺料理”であることは一目瞭然ならぬ一食瞭然！　埼玉から生まれた新たなまぜそばの形を、「HandicraftWorks」でお楽しみください!!