ラーメンの有名店が集まるさいたま市の中で、今回ご紹介するのがJR浦和駅の東口から徒歩5分の場所にある「鶏そば 一瑳」です。
店名の通り“鶏”にこだわったお店では、透き通った清湯スープを使った「あっさり鶏そば（780円）」と乳化させた白湯スープを使った「濃厚鶏そば（880円）」と「鶏白湯つけ麺（並盛／850円）」をレギュラーメニューとして提供。複数の動物性素材を組み合わせるラーメン店も多い中、鶏だけでも十分に旨味を効かせた満足度の高いスープが作れることを、清湯と白湯の両方のラーメンで実証しています。
麺には店内の製麺機で作る自家製麺を使用。季節や天候によって加える水分量を変え、しっかり寝かせて熟成させたものを提供しています。
行列のできる人気店でありながら、驚かされるのが洗練されたオペレーション。並んでいる間にスタッフによる券売機への案内と注文の確認を行うことで、席に案内されるとすぐにお料理が提供されます。このため行列する時間帯に並んでも、列の消化がスムーズで入店後の待ち時間がほとんどないため、「待たされた」という印象を感じさせません。
2022年5月に浦和駅の西口側から現在の店舗に移転。カウンターバーのようなシックで落ち着いた雰囲気は残しながら、外からも見通しの良い店内は女性のひとり客にも入りやすいと評判に。深夜1時まで営業しているので、夜遅くまで働く職業の方や残業帰りでも閉店時間を気にせず通えるのもうれしいポイントです。

「鶏そば 一瑳」の看板メニューであり、ぜひ最初の来店で試していただきたいのが「あっさり鶏そば」です。オーナーが厳選した国内産の鶏ガラをメインに、モミジやボンジリ、首肉にショウガなどを加え、濁らせないように弱火でじっくり煮込んだ一番スープを使用。このスープに焼津産のカツオ節や利尻産の昆布を使った塩ダレを合わせることで、清湯スープの鶏の味を引き立たせると同時に旨味の土台を固め、ラーメンスープとしてのボリューム感をしっかりキープ。“あっさり”という言葉はあくまで味の方向性を表しており、透き通った琥珀色のスープには鶏の旨味やコクがギュッと濃縮されています。
「あっさり鶏そば」で使用する麺は、“そば”の名前が付く通り日本そばを思わせる細めの自家製麺。一本一本がしっかりスープをからめ取るとともに、すするたびに鼻へ抜ける全粒粉ならではの香ばしさが、鶏の旨味・香りと相乗効果をもたらします！
トッピングでは、中央に鎮座する焼き目のついた鶏チャーシューが大きな存在感をアピール。ひと切れハシでつまみ上げれば、そのムチッ、プルッとした弾力が伝わってくるよう。モモ肉の柔らかさを活かすよう、蒸してから皮目を炙ることで、柔らかなモモ肉の食感と炙った鶏皮の香ばしさを両立する仕事が施されています。このほか、白髪ネギや細切りメンマは、麺と一緒にスープに絡めて甘味や食感の変化を楽しめ、長ネギの輪切りは味変に加えて口の中をリセットする効果も。
味変で欠かせないのは、小皿で提供される柚子胡椒の存在。ピリッとした辛味と柚子の香りは鶏の脂の濃厚さを引き立てながら、後味の爽やかさで次のひと口を新鮮に味わえる魔法をかけてくれます。鮮烈な香りを活かすため、レンゲにとったスープに少量ずつ溶かしたり、鶏チャーシューの上に乗せていただくのがおすすめ！
一杯のラーメンの中で、様々なアプローチで鶏の旨さを味わえるように創意工夫が凝らされた、並々ならぬこだわりを感じさせる一品です。