クルマでさいたま栗橋線の「蓮田駅入口」交差点を蓮田駅方面へ進んで約3分、蓮田駅西口を出てすぐの場所にあるのが「和風楽麺 四代目ひのでや 蓮田本店」です。
「和風楽麺 四代目ひのでや 蓮田本店」は、蓮田駅前にある日本料理店「彩々楽」の四代目当主・栗原正生さんが、2012年にオープンしたラーメン店。1885年に大衆料理店として創業した当時の屋号「日の出家（ひのでや）」を、現代の大衆食であるラーメンのお店を出すにあたって復活させました。提供するメニューは銀座の一流料亭で修業をした栗原さんが日本料理の技法で創り上げた、「出汁」や「旨味」を活かした独自の“和風ラーメン”揃い。オープン時からの看板メニュー「ひのでやラーメン（並・大盛1050円）」は、ホタテとカツオの出汁を軸にしたスープに、国産小麦を使用した自家製麺を合わせた創作料理のような一杯。既存のラーメンの枠にとらわれない味は国内にとどまらず、アメリカ・サンフランシスコに「HINODEYA RAMEN BAR」を出店したのを皮切りに、シリコンバレーやテキサス州ダラスなどにも展開。海外でも非常に高い評価を得ています。
店構えにも日本料理を軸としたこだわりが現れており、間接照明によるライティングやジャズの流れる店内は、まるでカジュアルな割烹料理店のような雰囲気。スタッフのサービスも洗練されていて、動きや所作の端々から“日本料理店でのサービスを”という意識が感じられます。
「ラーメン店としては決して安くない価格帯だと思いますが、ご満足いただける味とサービスを心がけています」と言うように、料理の味や店内の雰囲気、スタッフのサービスなど、トータルでの“上質な食事の時間”を提供しているラーメン店です。

新ラーメンを研究する中で生まれたのが、写真の「はまぐりラーメン（大盛1180円／並も同額）」。発想の元となったのは「はまぐりの酒蒸し」という料理で、はまぐりが持つ滋味深い旨味をたっぷり引き出すだけでなく、主役の味を引き立てるようにかつおと昆布を脇役に添えるのは日本料理の手法ならでは。日本料理であればこれだけでも十分なところですが、バターとニンニクを加えてラーメンに求められる“ガッツリ感”を持たせて満足感もアップ。既存のラーメンに当てはめるなら“海鮮系塩バターラーメン”といったところですが、一口いただけば“はまぐりのラーメン”としか表現しようのない、はまぐりの主張が強く出たスープに仕上がっています。
もう一方の主役、麺には全粒粉を加えた国産小麦を使用した自家製麺を使用。加水率の低いストレート麺は、器から引き揚げるとしっかりとスープを身にまとった状態で口の中まで運ぶことができ、口に入れた瞬間からはまぐりの香りを楽しめます。麺を噛むごとに麺とスープがシャッフルされて、はまぐりと小麦の甘みが相乗効果を生んで増幅していくよう！　麺をすする感覚にどこか既視感のようなものがあると思いましたが、さらさら系のスープとストレート麺の組み合わせは日本蕎麦を食べるときに近く、さすが日本料理の職人が作ったラーメン、と唸らされます。
トッピングは10個ほどのはまぐりとたっぷりの白髪ネギ、糸唐辛子という構成。弾力のあるはまぐりの身からは濃厚な旨味が染み出し、スープの旨味に強弱をつけるアクセントに。麺と絡めやすい細切りで揃えられた白髪ネギと糸唐辛子は、麺と一緒にいただいて食感や辛味のランダムな変化を付けるトリックスター。シンプルな具材だけにそれぞれの役割が明確で、作り手の意思を感じさせる配置となっています。
大衆食のラーメンとは一線を画す、和食の技法で一から作り上げられた「和風楽麺 四代目ひのでや 蓮田本店」のラーメン、ぜひ一度ご体験ください！