飯能市の住宅街の中に、土日祝日にだけオープンする絶品ラーメン店があるのをご存じですか？　それが圏央道の狭山日高I.C.から約10分、東飯能駅の東口通りから少し入ったところにある「西山屋」です。
オーナーの西山さんは、都内の5つ星ホテルで料理長まで務めたシェフで、研究のために自作したピザ窯をきっかけに、調理場兼店舗を自ら手作りしてお店をオープン。口コミが人を呼び続け、宣伝らしい宣伝もしないまま全国からお客様の集まる“隠れた名店”に。
通常のラーメン店と違うのは、フレンチやイタリアン、アジアンに多国籍料理、さらにはチーズケーキやジェラートまで、ずらりと並ぶサイドメニューの数々。そのどれもが、長年にわたって研鑽を続けた西山さんの技術と舌で作り上げる本格派。食材や調味料にも決して妥協することなく、中華料理なら中華街の名店と同じ材料を使うといったこだわりの逸品ぞろい！
こうしたメニューは季節の食材や西山さんがインスピレーションを刺激されて生まれたもの、お客様からの要望を受けての“きまぐれ”などで入れ替わり、訪れるたびに新しい出会いが楽しめます。「こんなラーメン屋があっても良いじゃない」とはオーナーの言葉ですが、近所にあれば通い詰めること間違いなしの、隠れ家的な名店ですよ！

「ここでしか食べられないものを！」と考えた西山さんが選んだのは、長崎県産の新鮮なトビウオを備長炭で焼いた"焼きあご"。これをたっぷり使って香りと旨味を引き出すと共に、豚ゲンコツや鶏ガラ、モミジなどの動物性素材を使って、芯のあるベーススープを作成。タレには"しろたまり"という大豆を使わずに作られた醤油（分類上は小麦醸造調味料）や北海道産のホタテを使うことで主張の強くなりがちな醤油ダレを脇役のポジションに配置。できあがったスープは、口に入った瞬間のあごだしの香ばしさと上品な旨味を感じさせるとともに、ラーメンに求められるどっしりとした安定感と深い味わいを持ち、一口また一口とスープを飲まずにはいられない仕上がりに!!
麺もスープとの相性を追求して、前歯で"プツプツ"と切れる博多ラーメンとも違う、"コリコリ"とした食感の細麺を使用。麺がスープでふやけにくく、口の中でも麺とスープの境界線がハッキリとわかる食味は独特のものです。
今回紹介する「特選あごだし麺（1280円）」は、炙りチャーシュー2枚と低温調理された豚ロース＆チキン3枚、自家製の炙りベーコンにメンマと煮玉子半玉がトッピング。このトッピングだけでも豪華に思えますが、提供前に自家製石窯で炙って味と香りを引き立てる工夫を怠りません。ラーメンには珍しく思えるベーコンも、しっかり和風の味付けに調整され、ちょっと脂っこさがほしくなったところでいただくと絶妙なアクセントに！
そのまま一気に完食したくなるところですが、テーブル上の壺にも注目を。3色の壺には爽やかな辛さを持つ柚子胡椒、しびれる辛さの生山椒のバージンオイルペースト、コクのある辛さがたまらないコチュジャンベースの辛味噌と、3種類の調味料を用意。それぞれスープに加えるとまったく違った表情を見せるので、まずはレンゲに少量入れてお好みの味をご確認ください。
スープに麺、トッピング、サイドメニューに至るまで、すべてが高いレベルにあるのに決してバランスを崩していない、ひとつの器の中にひとつのコース料理をギュッと閉じ込めたような、まさに「ここでしか味わえない一杯」が待っています！