加須I.C.を出てクルマで約5分、国道125号線を栗橋方面に進み、北大桑（西）の交差点を右折し、少し行った左側にあるのが、今回ご紹介する「中華そば くりの木　加須店」です。
「くりの木」の特徴は、なんといっても"熱々のラーメン"を提供していること。そのこだわりたるや食べ始めだけでなく、最後の麺の一本、スープの一口までが“温かいまま”ではなく、“熱々のまま”でいただける工夫が施されています。こうしたこだわりはラーメン一杯の注文でもお盆に乗せられて提供されていることにも表れており、これはお客様がどんぶりに触れずに済むようにという配慮から。添えられるのもレンゲではなく、なべ焼きうどんなどに使われる柄杓子（えびしゃく）という徹底ぶり。
提供するメニューも、魚介と動物系のWスープを使った中華そばや、パスタのようなもちもちの食感を楽しめる平打ち麺を使ったつけ麺、濃厚な胡麻ベースのスープでいただく担々麺があり、どれも熱々でいただくのにピッタリなラインナップ。
「くりの木」のオープンから携わっている店長の落合さんが、「女性のひとり客でも入りやすいお店にしたかったんですよ」と話すように、カフェのような外観や木の温かみを感じさせる内装で、郊外のロッジやコテージを思わせる居心地のよさ。「ご両親に連れられて通っていたお客様が、子供を連れて来店してくれるようになったりもするんですよ」と落合店長が笑顔で話すように、ご家族連れでの食事にも優しい親しみやすいお店です。

看板メニューの「中華そば（860円）」をひと目見れば、はっきりわかるのがスープの上に張った脂の膜！　これが麺に絡んで熱々さを保ちながら、器内のスープが冷めるのを防ぐ防波堤の役割を果たしています。慎重にスープを口の中に含むとまずは華やかな魚粉の香りがパッと広がり、豚骨由来のミルキーなコクと甘みを伴った旨味が口の中に溢れんばかりに。見た目に反して脂のクドさを感じさせないのは、スープとのバランスや脂の質によるものでしょうか。麺は太麺・細麺・極細麺の3種類から選べますが、今回は太麺をチョイス。スープの中からすくい上げた麺をほおばると、スープの旨味に加えて麺の持つ甘味とモチモチとした弾力でおいしさが倍増。この食感を楽しもうと噛み締めるたびに口の中で麺とスープがシャッフルされて、混然一体となった味わいが繰り返し舌に襲い掛かってくるようです。
熱々なラーメンというと途中で麺が伸びてしまいそうですが、この「中華そば」は不思議とゆっくり食べ進めても冷めた印象を受けません。むしろ最後の一口ですら、芯に温かさ……というよりも熱さを感じるほど。この麺は「伸びにくさにこだわって、製麺所さんにもかなり無理を聞いていただいた（落合店長談）」とのこと。
トッピングの豚バラチャーシューは、とろけるような脂とホロッと崩れる赤身部分のコントラストがクッキリ。白髪ネギはそのままでシャキシャキの食感を楽しんだり、熱々スープに沈めて甘みを引き出したりと、"熱々のラーメン"との相性抜群！　人気のトッピングの穂先メンマは、触れると繊維がほどけるように崩れる心地よさ。
ここまで徹底した「最後まで熱々のラーメン」が提供できるのは、食材や調理はもちろん、注文から提供までのオペレーションがあってこそ。"ラーメンは熱々がおいしい"という哲学が店舗の運営に浸透しているからこそできる、こだわりの一杯です。