国民的人気マンガ『サザエさん』をはじめ、『いじわるばあさん』や『エプロンおばさん』などの作品で知られる故・長谷川町子さん。その原画をはじめ貴重な品々を見ることができる『長谷川町子記念館』が東京・世田谷区にオープンしました!
常設展示室は1階と2階にあり、2階には人気作品の貴重な原画はもちろん、15歳のときに天才少女としてデビューした『少女倶楽部』の誌面や、執筆に使用していた机や画材など、ゆかりの品々を展示しています。1階の常設展示室では、人気作品を紙の本とデジタルの両方で楽しめるギャラリーや、最新技術を駆使したデジタルぬりえなど、小さなお子様も楽しめるコーナーになっています。
また、1階には『サザエさん』や『いじわるばあさん』などのオリジナルグッズを販売する購買部や、長谷川町子さんが執筆中に愛飲していたほうじ茶をオリジナルのカップで提供する喫茶部があり、観覧の余韻に浸るひと時を過ごすのにピッタリ!
なお『長谷川町子記念館』は、長谷川町子さんと姉の毬子さんが収集した美術品を展示する『長谷川町子美術館』の道を挟んですぐ向かいにあり、入場料金も両館合わせての料金になっているので、こちらもあわせてお楽しみください!
2階の常設展では、『サザエさん』や『いじわるばあさん』などの人気作品や、各種短編の原画を展示しています。印刷された書籍からは読み取れない、細やかな筆致までが見ることができるのは原画ならでは! また、世に公表された作品だけでなく、長谷川町子さんの幼少時の記録から、人気マンガ家であった田河水泡氏に弟子入りする際に持って行ったスケッチブック、さらには執筆の合間に製作した陶人形など、ユーモアあふれる本人の人柄をしのばせる品々を見ることができます。
横開きの体裁が珍しい『サザエさん』の初版本。これがアダとなり、発行当初は返本の山だったというから驚きです。
よく見ると原画に切り取った跡が!? 当時、新聞や雑誌と単行本ではサイズが違うため、単行本発売時に書き足したのだそう。
歌舞伎や時代物を題材とした作品も描いていた長谷川町子さん。ただし内容は長谷川町子さんらしい、軽妙なノリに。
執筆時に使っていた机や画材などの道具も展示しています。壁にかけられた絵は、長谷川町子さんが愛猫を描いたもの。
師であり、『のらくろ』などの作品で有名な田河水泡氏が、90歳の誕生日を迎えた際に長谷川町子さんに送られた色紙と手紙も。
没後約2カ月、長谷川町子さんにマンガ家初となる国民栄誉賞が贈られました。賞状は亡くなられた日付が入っています。
2階の企画展示室では、2021年1月11日まで、「漫画原画にみる1964東京五輪」を開催中。オリンピック開催に湧く国民の様子はもちろん、競技会場の建設やインフラ整備、記念メダルや切手の販売など、当時の国民生活や世論が作品に反映されていることを伺い知ることができます。
2021年夏に延期されたオリンピックの開催を控え、57年前と変わった部分、変わらない部分を、長谷川町子さんがユーモアたっぷりに描いていたことを知ることができる企画となっています。
当時の写真と4コママンガを並べることで、当時の空気を読み取れます。新聞掲載の『サザエさん』は、時事ネタも多数!
オリンピックと前後して、海外旅行も自由化。旅行好きの長谷川町子さんが、海外を訪れたときの写真も展示してありました。
1階の常設展示室は、アナログ・デジタル双方の技術を駆使し、長谷川町子さんの作品世界を体感できるコーナーとなっています。『サザエさん』で主に描かれた昭和20〜30年代の家庭が再現された一画のすぐ隣には、最新のデジタル技術を駆使してバーチャルにイタズラ書きができる板塀が! 『サザエさん』、『いじわるばあさん』、『エプロンおばさん』の3作品の原画を収録した、タッチパネル式のデジタルギャラリーには、設置された単行本と見比べることができるようになっています。
デジタルギャラリーに収録されているのは原画のため、印刷時の指示やインクのムラによる筆の運びまでハッキリ!
タッチパネルで楽しむぬりえや絵本を楽しめるコーナー。画像はプロジェクターで壁面に投影され、みんなで楽しめます。
デジタル技術を駆使した壁は、ダミーのチョークで絵を描くことができます。カツオになった気分で板塀にイタズラ書き!?
『サザエさん』の作中で描かれる、昭和20年代後半〜30年代の家庭を再現。季節の移り変わりに合わせ、家具も変化します。
1階の「喫茶部」では、長谷川町子さんがほうじ茶を愛飲していたことから、東京・人形町で100年続く老舗のほうじ茶を提供しています。付け合わせには、ほぼ毎日パパイアを食べていたという長谷川さんのエピソードにちなんで宮崎県産のドライパパイアが付き、お得度も高い一品です。
このほか、コーヒーや紅茶も昭和から続く名店の味を提供していますが器にもご注目を! ホットメニューはすべての絵柄が違う、世界にひとつだけの特製マグカップでいただくことができます。
ほうじ茶一辺倒だったという長谷川町子さんにちなみ、「ほうじ茶(ドライパパイア付き)」はホットのみの設定で400円。
東京・銀座で100年続く老舗喫茶店のコーヒー豆を使った「深くておいしい珈琲(ホット350円/アイス400円)」。
※価格はすべて税込です
1階の「購買部」では、『サザエさん』をはじめとする作品のオリジナルグッズを販売しています。中でも「エコバッグ」は、生成りのボディが持つ落ち着いた雰囲気と、昭和のモダンファッションに身を包んだサザエさんが調和したお洒落な一品。「喫茶部」で提供しているほうじ茶(茶葉734円/ティーバック950円)や「ドライパパイア(972円/100グラム)」も、こちらで販売しています。
一部の商品は公式ホームページから通信販売も行っていますから、ぜひチェックしてください。
オーガニックコットンのトートバッグに、おしゃれなザエさんの姿がプリントされた「サザエさんエコバッグ(1320円)」。
『サザエさん豆皿(880円)』は、原作の『サザエさん』一家の姿を抜き出し、職人が1枚1枚丁寧に仕上げています。
※価格はすべて税込です
『長谷川町子美術館』は、長谷川町子さんとその姉の毬子さんが蒐集した美術品を展示するため、1985年にオープン。建物は外壁や内装にいたるまで長谷川町子さんの意向が反映され、決まった順路を設けないのもご本人の意向によるのだそう。
蒐集品は絵画や版画、陶芸など多岐にわたりますが、動物好きで知られた長谷川町子さんらしく、動物をモチーフとした美術品が多いのだそうです。
美術館の一画にはアニメ『サザエさん』の資料を展示する「アニメの部屋」も設けられています。
東山魁夷や横山大観、加山又造といった巨匠の作品だけでなく、長谷川姉妹が気にいった無名の新人まで、幅広い作品を収蔵。
長谷川町子さんの意向で開放感のある吹き抜けの構造とし、天井には陽光が取り入れられる造りになっています。
館内にある「アニメの部屋」には、アニメ『サザエさん』の様々な設定資料を展示。大型モニターでアニメの上映も。
磯野家の間取り図を元に起こされたミニチュアの模型。こうしてみると、サザエさんたちの暮らしぶりがよくわかります。
©長谷川町子美術館